SSブログ

こぼれる雫はゆうやみにとける 1 [こぼれる雫はゆうやみにとける]

 
振り向くか振り向かないか。
そんな微妙な角度で彼女は
「あのときね、本当はうれしかったの。そして謝りたかった」
そう言ったまま
表情はみせようとせず。
ぼくは彼女の唇からこぼれる言葉を目で追うしかなかった。
 
彼女の言う「あのとき」にぼくも心当たりはあった。
だけどそれは彼女にとって日常茶飯事だと思っていたし、
そう思わせるものがあのときの彼女にはあった。
そう思うようにしていた。

ぼくの1歩だけまえ、
濡れた歩道をゆっくりと歩く彼女の肩で揺れる髪をみながら
あー、ぼくはいつもこの髪にドギマギしてるな、
なんて考えながらなにか気の利いたこと言わなくちゃ、と
ことばをフル回転で探す。
だけどいまのぼくにはぼくを
どう伝えたらいいのかわからない。

そんなとまどいを察したのか彼女は
「もう時効ですよね」と立ち止まりふりむく。
その視線が濡れた傘を持つ僕の左手、
その薬指に向いていることは鈍感なぼくでもわかる。


ぼくも立ち止まった。
 
 
 
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

嫌悪 [sensitivity]

ひとりであるく
背筋をピンって伸ばして

しあわせに溺れすぎていて
いつもさしのべられる手を
疑うことなく掴むだけだった

溺れすぎていて
不安になることはあっても
当然になってしまっていて


お互いの置かれた状況を考えれば
当然の今

自分の今を
他の誰かに伝えようとも思わないし
共有してもらおうとも思わない


だから

ひとりでいる私を
かわいそうだとおもうのはやめてください
私は私の意思でひとりであるき
自分に与えられたものを
ひとつづつこなしていくだけ

安易なことばがけ
一緒にいてあげようか、的な
強がらなくていいんだよ、的な
それは
今の私を侮辱している以外の何物でもない

私は
自分の価値観をおしつけるつもりも
自分をわかってほしいとも思わない
私を安易に扱えると思っている人と
一緒にいるほど落ちぶれていない

私は
ひとりで歩くことを選んで
前を向いています

たくさんの感情の中から
凛とした自分を見つけ出し
そこに向かって歩いています




私は
あなたのような浅はかな人は
大嫌いです



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。