得した気分

私の担当は認知症疾患病棟で
もちろん
高齢者の方がほとんどです

病棟では夕方
歩行練習と称して
病棟内を回遊する時間があります
ほんの15分程度ですが
車いすの方も
歩行器を使っていらっしゃる方も
動ける方は
みなさんそれぞれのペースで歩きます

昔なつかしい曲に合わせて
看護師や看護助手に手を引かれ
にこにこしながら歩く方
　今日は腰が辛いから止めておく
そう言ってデイルームでくつろいでいる方も
いらっしゃいます

私も
時間が許す限り病棟へ出向き
この歩行練習の時間を一緒に過ごすことにしています

ふだんはひとりで
かくしゃくと歩いている男性の方が
今日はデイルームから動こうとせず
　　
　　たまには一緒に歩きませんか

そう声をかけると

　　袢纏はいらないかね
　　チョッキだけ着るよ

そう言って袢纏を脱ぎ
シャツにベストと身軽になって
私の左手をとり歩きはじめました

　　たまには
　　若い人と一緒に歩くのもいいもんだね

手をつないだその先
そう笑顔で話されました

大きくてしわくちゃな手は暖かく
私もいつか
父の手を引いて
こうして歩くようになるのだろうか、と
ふと思いました

手をつないで歩いている間
若い頃のお仕事の話や
この土地へいらした経緯など
僅かな時間ではありますが
いろいろな話を聞かせていただきました


私みたいな者でも
人を笑顔にすることができるんだ、
そんな
ちいさな喜びの時間です

全ての方と手をつなぐことは無理で
病状によっては
色情行為等を助長してしまう恐れもあるので
注意が必要な場合もありますが
人のぬくもりというものは
人のこころを暖かくするものなのだなと
つくづく思います


しかも
この病棟では私の年齢でも
「若い人」でいられます…

小さな喜びもあり
自分が思うより若く見られる…

ちょっとだけ得した気分です

コメント 2

mamiaさんの今の仕事はどんな仕事かよくわからなかったけど人と接することの多い仕事なんですね。
前の仕事はすごくクールなイメージだったけど、だいぶ変わった？？
新しいプロフィールのPSWってなんだろう、って思ったけどこういうことも仕事のうちなんだね。
by ずずお (2010-02-18 21:38) 

ずずおさん、ありがとうございます！

そうなんですよ、以前の仕事とは180度??違う感じです。
以前の仕事は極端な話、法律に基づいて動けばよかったのですが
今度の仕事は法律はあっても、そこに当てはめることのできない病状や心情、生活環境など不確定要素が多々あり…
もっとも、人が生きるということはそういうことなので
当然なのかもしれませんが…
PSWというのは精神科領域に特化したソーシャルワーカーなのですが、やりがいは感じています。

それでもめげることが多いんですけど。


by mamia (2010-02-20 19:36)