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連鎖する記憶~ココアと慰めの関係~ [Friends]





なかなか進まないレポートを打つパソコンのとなりに

少し大きめのマグカップ。



この部屋に引っ越してきて

まず最初にタツヤとふたりで買ったのは

お揃いのお茶碗とお椀、そしてお箸だった。

マグカップは私が探し

デザインが気に入ってお揃いのものを手にした。



今、手元にあるのはシンプルな大きめのマグ。

お揃いのマグカップも健在だけど

なぜかひとりの時は大きめの方を使ってしまう。



…ひとりの時にペアマグが欠けちゃうと悲しいし。

そんな気もする。



 

 

大きめのマグの中にはココアがたっぷり。

ココアで思い出すのは地元のKoくんのこと。



胃痛を抱えてKoくんの勤務する病院へ検査に行った。

検査を終え、待合室で自販機のココアを飲む。



 なにそんなもの飲んでるんだよ。

 胃が痛いって言ってるやつが。



 コーヒー飲みたいけど、コーヒーは良くないと思って。



 コーヒーもココアもカフェインはそんなに変わらないんだぞ。

 飲むなら牛乳にしておけ。



胃痛を抱えた不安をよそに

Koくんのそのぶっきらぼうな命令口調が

何かおかしくて、ほっとした事を思い出す。

 

 

…寝不足つづきで、コーヒーとココアの連続。

 こんなのKoくんに知れたら

 また胃を悪くするぞ、とでも言われそう。



おかしさが込み上げてくる。

 

 

深夜にもかかわらず携帯にRからMailが入る。

“親父が亡くなって 今、すごく大変です。

 落ち着いたら慰めて下さい。”



レス、できずにいる。

すごく悲しいだろう、辛いだろう。

長く患っていたことは以前から聞いていた。

でも、私には何もしてあげられない。

今の私には抱きしめて慰めてあげることはできない。

その相手が、Rだから。

 

 

ココアをひとくち含む。

Koくんの顔が浮かぶ。



…おまえ、男にいい顔しすぎなんだよ、昔から。



 

安心して、Koくん。

私も少しは成長してるよ。

私も自分の気持ちを守る術は身につけたよ。



曖昧なのが自分の気持ち、なだけで。

 

 

誰にでもいい顔、してきた訳じゃない。

大切に想う人を大切にしたいだけ。

だから、

誰にでも優しさを振りまいている訳じゃない。



 

ココアを飲み終えたら

Koくんの声は聞こえなくなるのかな。

お説教じゃなく

たまには、私を慰めてよ。
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