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儚いからこその優しい思い [hearts]


大丈夫、大丈夫。

たくさん、たくさん、T氏のこと、思い出した。
涙が溢れそうになるほど
あの頃の思いが今の私を独占していたけど
でも、大丈夫。


儚いからこそ、優しく、思いだせる。
あの頃のようなつらさよりも
優しい思いが私を包む。


大丈夫、大丈夫。
たくさん思い出して、
たくさん優しい思いで包んで、
そしてまた、
優しい思い出として
そっと、そっと、ね。

大切に、大切な、思い出として、ね。


儚いからこその優しい思いが
私とT氏の間にそっと流れたような
そんな気がする。


ね。


だから、
もう、きっと、だいじょうぶ。






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ごめんね。ごめんね。ごめん…ね。 [hearts]

ひとりでロングドライブ
北の街への道のりは
あまりにたくさんのことを思い出させる

車内を流れる音楽はどれも
私のお気に入り
だけどそれがまた思い出を呼び寄せてしまう


達弥さんのことも
T氏のことも
たくさんたくさん思い出した
…思い出してしまった。
 忘れていたことさえも。

達弥さんはいい。
青く未熟だった私の幻影にも近いから。
気配だけを残して一瞬にして消えたから。
残ったのは、思い出。


でもね、T氏はね、T氏だけは
私の感情のすべてがT氏に支配されて
そしてそれを忘れるために
合わせた両手のひらの中にぎゅっと、ぎゅっと
そしてそれを二度と開かないように
胸元に突き刺すように堅く、堅く閉じ込めて

そんな思いだったから


T氏の声を聞いてしまったのは
私の浅はかな企み
きっと、だいじょうぶ、
T氏はもう前のT氏じゃないからだいじょうぶ、
そう思っていた私の過ち。










車道の向こう側
出勤途中の彼が立ち止まり
大きく腕をひろげて笑って見せる

 なに?なんだったの?

あとで尋ねる私に屈託なく笑い

 胸に飛び込んでおいで、のサイン
 わからなかった??
 
それからは
腕を広げる彼を見ると
大きくうなずくのが私の日課になった


残業で遅くなる私の車
ワイパーに挿まれたメモ

 少し待ってたけど遅くなりそうだから
 先に駅に行くね
 20時の電車に乗る予定
 仕事頑張って

そのメモを握りしめ駅に急いで向かう

約束もしていないのに
駅のロータリーに彼の姿があり
まるでお迎えに来るのを待っていたかのように
私の車に乗り込む
二駅分、ほんの10分程度の距離
私は車を走らせ
だいじに、だいじに過ごした

20時の列車を見送り
ひとけのない駅の片隅
彼の左手が私の右手を握りしめ
彼の右手が私の頭をそっと引き寄せる
彼の胸元で
私はため息にも似た深呼吸をするだけ
言葉にすれば
言葉にしてしまうと
消えて行ってしまいそうな時間を
ふたり
こころが軋む音を聞いてすごした


許されないことはわかっていた
彼も私も
すべてを投げ出せないこと、



わかっていた



だから



時間と物理的な距離に頼るしかなかった



でも時間と物理的な距離は
時として簡単に心理的距離へとその姿を変えてしまう
あたかも何もなかったかのように姿を変えてしまう
もろく、はかなく、きしみながら。










彼は転職しました。
今も
あの頃と同じフィールドで専門職として
凛として活躍しています。

私は同じフィールドから離れ
まったく違う仕事に就いたはずでした。
だけど今また
図らずも
指先だけ同じフィールドにかけてしまいました。



彼からもらったメモもCDも
引っ越しの時に捨てました。
ふたりで写っている写真は…
捨てられない自分がありました。





ごめんね、
ごめんね、

こんなにつらい思いをしてきたのに
また…





ごめんね、

思い出すとつらくなるのわかってたのに
また…





ごめんね、


ごめんね、
ごめんね、

誰に謝ってもこの気持ちはどうにもならない





ごめん…ね。





いまの私を支えてくれているのは
タツヤ以外の誰でもないのに。







ごめんね。








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