夜空があまりに蒼く冷たく透明すぎて [Alphabet People]
なんの前触れもなく
とつぜんに思い出した
蒼く冷たく透明な夜空を見ながら
そのあまりの冷たさに
彼の腕の中のやさしさに溺れ
私は自分から言ったんだ
いつか
いちどでいいから抱いてください
って
T氏は私を抱きしめる腕に
そっと力を入れて
うん
って
うん
いつか、ね
いつか、抱きたい
って
あやまちはもう止められなくて
凍りそうな夜空の下
わたしは
行き場のない感情を委ねて
今にも融けだして
消えてしまいそうになる時間を
必死にこらえていた
今日は
あの夜みたいに
空が
蒼く冷たく透明だから
T氏の優しい腕の中を
思い出してしまったのかもしれない